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広報・広聴

平成28年度 広報紙部門 総評

公開日:平成29年(2017)3月23日更新日:平成29年(2017)3月23日

大井委員

 先ず、本年度の応募作品の全体の印象について述べると、昨年と比べ高く評価することのできる作品が非常に多かった。企画の問題意識の高さや、テーマへの適切なアプローチはもちろんのこと、読み易さ、分かり易さ、そして利用のし易さに心を砕いて、編集された作品が目立った。住民になじみのない行政用語は姿を消し、読み手の立場に立って、編集制作されていることが十分伺えるだけでなく、その成果が明確に紙面に示されている作品が多かった。図や表、アイコンなどを巧みに使い、なかなか理解しにくい問題をかみ砕いて説明する。平易な語句を使う。ご苦心の程がしのばれるのである。
 広報紙は様々な役割を担う。自治体は、伝えなければならない情報から、伝えておくべき情報、伝えておいた方が良い情報に至るまで、様々な情報を抱えている。それらの情報の価値・意義を吟味し、それに従った情報提供を心掛けることが大事である。いうまでもなく提供すべきは情報に限らず、住民の参加を促すような議論の提供も、複雑な利害が絡む問題について多角的な視点の提供も重要である。自治体の基本的な施策を理解してもらうだけではなく、支持・協力をもたらすような取り組みが必要である。
 パブリック・リレーションズはパブリック・コミュニケーションの一部であり、パブリック・コミュニケーションはパブリック・リレーションズ(PR)を捉える研究の枠組みとして重要である。パブリック・コミュニケーションとしてのPRについて、重要なアプローチが三つある。一つはコミュニケーションのアカウンタビリティである。説明責任と訳されるのが普通であるが、どうも結果について説明すれば責任が果たされる、と安易に解されている場合が多い。本来のコミュニケーションのアカウンタビリティは、結果についての説明責任だけでなく、行政過程全般に関わるものと理解されるべきである。
過程を重要視することは、第二のコミュニケーションのトランスパレンシー(透明性)につながる。公表することによって多くの問題を惹起するような未成熟な情報を自治体が抱えていることは言うまでもないが、安易に判断するのではなく、多少の不都合は受忍限度と心得て、すべての行政過程全体についていかに透明性を確保できるか、ぎりぎりまで努力する。こうした努力は、かならず自治体経営にとって重要な資産となりうる、信頼性をもたらすことになるだろう。
 第三、はコミュニケーションのインタラクティビティ(双方向性)である。これはソーシャルメディアのようなメディアにとって有効なアプローチであることは言うまでもないが、既存の紙媒体でも重要性はいささかも減じない。一方通行になりがちな媒体にどのようにしたら、有効適切なフィードバックのループを構築できるか、今一度真剣に考えてみるべきであろう。
 こうしてみると、三つのアプローチは相互に密接に関連していることが、了解されるだろう。それぞれは固有の意義を持つことは言うまでもないが、相互に関連づけて、戦略的に広報を考えていけば、新たな広報の視座がうまれるであろう。そのためには、それぞれのアプローチを実行するとすれば、何が不足しているか、何が障害になっているか、を明らかにし、それを克服する努力が必要だろう。さらに、そこから、一層のアカウンタビリティを目指す試みが、行政過程の透明性をもたらすこと、アカウンタビリティと透明性を媒介しうるのが双方向性だ、といった見取り図も見えてくるだろう。

長岡委員

広報紙の優位性を活かした
紙面企画と編集チャレンジに期待したい。


 応募作の紙面を読むと、様々な情報にURLが表示され広報のハブメディアの機能を考慮した情報訴求が図られている。また、スマートフォーン等に対応したQRコードの表示、視力障碍者に対応した試みであるSPコード(読み上げ装置を用いて、文字情報を音声で聞くことができるコード)が表示され、住民に情報を容易に入手できる工夫を紙面から見る事が出来る。一方で、URL表示のみの紙面も数多く見受けられる。住民への利便性を考慮した表示に留意する事が望まれよう。
 紙面企画及び編集で特筆する点は、告知型の企画が多い中で、住民との協働による紙面が見受けられる。その例が、住民がリポーターとして取材した記事、紙面の企画及び編集に住民が参画した紙面編集が挙げられる。また、職員が紙面に登場し、施策に係る情報を発信している紙面も見受けられ、広報紙が職員と住民とのコミュニケーションのハブメディアとなっている。加えて、住民が紙面に登場する企画も多く、住民の目を惹く紙面編集を多く目にした。進化する紙面企画と編集を感じる審査であった。
 紙面表現では、写真を巧みに用いて視覚力のある表現が目につく。また、情報区分ごとに文字組及び色を変化させ、視覚的な情報区分が図られている。変化の飛んだ紙面表現を施した応募作を多く目にした。
 一方、情報量が多く目移りする紙面表現も見受けられる。広報紙の紙面数にはコスト面を考慮すると限りがある。広報紙に掲載を要望する部署及び情報量も多くなる中で、読みやすい紙面にするためには、情報量をいかにセーブするかが広報担当者の悩みの一つと言えよう。多くの自治体では、紙面で訴求する情報をホームページでも掲載しているW広報が多く用いられている。重点施策を除いた他の情報は、情報の概要のみを掲載し情報の詳細はホームページをはじめとした他メディアに委ねる編集方法も、紙面に掲載する情報のセグメント方法の一つと言えよう。
 広報紙は、住民が自らアクセスする必要があるホームページやSNS等とは異なり、全世帯に配布される。また、紙面の訴求情報の内容によってはセグメントしたターゲットは存在するものの、一方で、広報紙は様々な住民に情報が発信されている。広報紙は、様々な住民に向けて情報を発信する全方位型のメディアで、他の広報メディアとは異なる優位性持ったメディアと言える。広報紙の優位性を活かした紙面企画と編集に、広報担当者の更なるチャレンジした試みに今後も期待したい。

このページに関するお問い合わせ先

広報広聴部  広報課 
電話番号:03-5388-3087