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広報・広聴

平成26年度 広報紙部門 総評

公開日:平成27年(2015)3月30日更新日:平成27年(2015)3月30日

大井委員

 広報紙を取り巻く環境、特にメディア環境はこの10年間激変した。すぐ思いつくのはソーシャルメディアの著しい発展である。職業柄若者の情 報行動を身近なところでよく見る。例えば授業の光景はまったく様変わりした。例えば情報検索行動である。授業中彼らに聞きなれない用語(専門用語を含め) を呟いたとする。とたんに彼らはお好みの検索エンジンをフル稼働させて、検索に励む。評者の授業はかなりデジタル化しており、ほぼペーパーレスで進行す る。授業の資料はイントラネットの授業フォルダに貼り付けてあるから、大半の受講生は、授業前にアクセスして自分のPCやスマホにダウンロードして臨む。 時には黒板代わりにPCのスクリーンを映し出して板書をする。彼らはスマホをスクリーンに向けてカメラでパシャリ。ゼミの学生間の連絡はいまでは大抵 LINEですます。

 少し専門的な言い方をすると、彼らの情報行動の基本はマスメディアを含めた様々なメディアの相互参照である。新聞を読む(あまり読まない)、テレ ビを見る(あまり見なくなった)、ここで彼らのアンテナにひっかかったトピックを、彼らはさまざまなネットのメディアに縦横に移動して、必要な情報を入手 し相互に参照する(この逆も当然ある)。そこで彼らの行動は終わらない。それらの情報を加工したりして、ツウィッターに発信し、フェースブックにアップす る。面白い動画(自作を含め)があればユーチューブに投稿する。彼らはもう立派なprosumerである(producer + consumer)なのである。

 きりがないのでここら辺でやめることにする。要は、若者だけでなく現代人のメディア・情報環境は激変し、そうした大きな変化の中に「広報紙」が置 かれているのである。Prosumerの注目を引きつけるべく、様々なメディアが激しく競い合っているのである。広報紙にとって容易ならざる時代がやって きた。新聞の目を覆うような凋落振りを見よ。

 こうしたメディア環境の変化は、広報紙にどんな問題や課題を突きつけるのか。改めて広報紙の存在理由が問われる時代になった。そのことを踏まえて、広報紙の制作にあたってどのような態度で臨むべきかについて、いくつか日ごろ考えていることを披瀝することにしたい。

 第一に、デジタル・デバイドの存在である。デジタル化の恩恵は総ての人が平等に享受するわけではなく、ガラケーすら持たない人びとがまだかなりい る、という事実である。彼らの存在を忘れてはならない。行政情報だけでなく、生活情報を広報紙に頼り、時には切り抜いて冷蔵庫に貼る。種類に応じてゴミを 収集場所に出すために、回収の曜日をチェックする。急な発熱で休日の診療の医者を探す。もちろんネットで済ます人は多いかもしれないが、確実に広報紙に依 存する人も存在するのである。それを忘れてはならないだろう。

 第二に、メディア間の情報の相互参照が進むと、オーディエンスの側でのメディアの情報の参照の仕方が重要になるが、忘れてならないのは、その情報 の信頼性である。ニュースや情報の信頼性の研究は日本ではあまり進んでいないが、これまでの研究を総括すると情報源がカギとなる。人は口頭の情報よりも活 字の情報を信用する。活字は公信力をもつ。口頭の情報には半信半疑でも、活字になるとそう簡単に否定はできない。特に諸外国と比べると日本では公的情報源 の信頼性が非常に高いのが特徴である。そこまで信用していいのと半畳を入れたくなるが、事実なのである。広報紙にとって情報の正確性が重要なのは言うまで もないが、それが信頼性につながっていること心すべきである。頼りにされている、信頼されている、もっと自信を持っていい。

 第三に、メディア特性の話になるが、今日なお大きな力を持つ放送メディアは、フローのメディアであって、ストックのメディアではない。録画機器や 媒体が飛躍的に安くなったとしても、オンデマンドが流行っているといっても、その情報はそう簡単にストックにはならないのである。放送メディアがフローと して流す情報とは、そのままでは情報の固定性を欠くのである。現在の「形」で新聞が生き残るとは思えないが、活字媒体としての価値は依然として残るし、残 さざるを得ない。同じことは広報紙にも言えるのであって、紙ではなくなるかもしれないが、広報「紙」の価値はなくならないのである。そうした存在をラスト リゾートという。最後のよりどころぐらいの意味である。活字経由の情報はまさに激変期にあるが、「活字的なもの」はなくならないと思い定めて、住民に何を どのように伝えるかを検討するのは自治体にとって重要な課題であろう。その意味で活字メディアの特性を改めて問い直す必要があろう。足元をいろいろな角度 から見直さねばならないだろう。

 審査を終えてこんな感慨がよぎるのも、限られたスタッフや予算にもかかわらず、斬新な企画、記事のシャープな切り口、文章表現やレイアウトなど、いろいろと創意工夫を凝らしたことが伺える多くの作品に出合ったからである。広報パーソンの皆様に敬意を表したい。

長岡委員

 コンクールへの応募作は39作品であった。企画内容は、2020年度開催の東京オリンピック決定を受けスポーツ係る特集企画を多く目にし た。また、発行号の月を考慮した、防災係る企画、夏休みのイベント企画等が目についた。その意味で、情報を発信するタイミングを重視しニュース性に飛んだ 特集企画と言える。一方、住民が紙面に登場する企画も多く見受けられ、行政と住民とのコミュニケーションメディアとして広報紙の機能が浸透している。

 編集面では、ダイレクト訴求型の情報告知が多く見受けられるが、一方で、住民に問いかける見出し、インパクトを持たせるための感嘆符を用いた見出 し等、住民に読んで頂くための見出しの工夫を紙面から感じる。また、住民へのインタビュー記事も多く見受けられ、変化の飛んだ紙面編集を見て取れる。

 紙面表現では、ほとんどの応募作で可読性を重視したレイアウト表現が施されている。広報紙における住民とのコミュニケーション主体は文字情報であ る。その観点から、可読性を考慮した文字組に、紙面表現のスキルの向上を見て取れる。また、紙面のビジュアルに多くの写真を用いている。写真のシチュエー ションも、かつて多く見受けられたスナップ写真から、事前に企画意図を考慮しシチュエーションを考え撮影された写真を紙面で多く見受けられた。その意味 で、写真撮影のスキル向上とともにインパクトのある視覚表現力を紙面から感じる。

 女性の社会進出が進み、各世帯における生活環境が年々変化している。住民の様々な生活環境に対応する意味で行政の広報活動には、広報紙とWEBが 切り離せない基幹ディアとなっている。広報紙でWEBの広報を行い、WEBで広報紙の広報を行う双方の情報発信が、行政の様々な情報を住民に認知を図るた めにますます求められよう。また、広報紙の媒体特性である記録性と保存性、手に取ってじっくりと読める等を考慮した紙面企画がいま以上に求められよう。そ の意味で、今回の応募作に見受けられた防災関連の紙面企画は、媒体特性に合致した紙面企画の一例と言える。住民とのコミュニケーションメディアを踏襲しつ つ、広報担当者は紙メディアの媒体特性を活かした企画に更なる磨きをかけ、住民に広報紙を読んで保存していただく情報発信を心がけたい。なお、今回の入選 作と選外にもれた差は、僅差であった事を付け加えたい。

このページに関するお問い合わせ先

広報広聴部  広報課 
電話番号:03-5388-3087