特定非営利活動促進法(NPO法)のあらまし
〜NPO(民間非営利組織)に法人格取得の道が開かれました〜
民間の非営利団体(NPO)は、福祉、環境、まちづくりなど幅広い領域で、課題解決の実績を積み重ねる活動を行い、その存在と重要性が広く認められるようになりました。
しかし、NPOの多くは、事務所を借りる契約の時、不動産の登記や銀行口座の開設の時など、活動する上で法人格を持たないことにより支障が出る場合もあり、その対応策が求められていました。
このような要請に応え、NPOがより活発な活動ができるよう環境整備を図るため制定された法律が、「特定非営利活動促進法(NPO法)」です。
特定非営利活動促進法は、法の定める分野の非営利活動を行う団体に「特定非営利活動法人(NPO法人)」という法人格を与えることにより、ボランティア活動をはじめとする市民活動の健全な発展を促進し、公益の増進を図ることを目的としています。
この特定非営利活動促進法における法人の組織上の形態は、「社団」であるとされています。社団とは、一定の目的を持って組織された人の集合体(団体)です。社団は、会則や定款などによって定められる組織を持ち、団体意思やどのような活動をどのように行うかを決定するシステムを持っています。そのことから、社団は、個々の構成メンバーから独立した別個の組織であり、構成メンバーの増減や交替などにかかわりなく、社会生活上のひとつの人格として対外的な存在と継続性を持っているといえます。
次に、法律上の権利義務の主体となることが認められるものとして自然人(個人)以外に「法人」があります。この法においても社団組織で法律で定められた要件を満たす場合には、「特定非営利活動法人」という法人格を取得することができます。法人格の取得は、活動する上での手段であり、法人格の取得そのものが目的となるものではありません。
ですから、この法の施行後も、法人格の有無にかかわらず、従来どおり任意にボランティア団体やNPOを結成し、自由に活動を行うことができることはいうまでもありません。
法人格を取得することによって、法律上の権利義務の主体と認められ、契約を締結する際には法人名義で契約当事者になることができ、また、不動産を所有した場合の登記も法人の名義でできるなど法人として法律行為を行うことが可能となります。
この法人の内部構成ですが、この法では、「社員」を法人の構成メンバーとしています。ここでいう「社員」は、一般的にいわれている会社員とは異なります。社員は法人財産に対する持分権を持つことなく、法人の目的遂行に協力する以外に個人の経済的利益を追求する権利を持つものではないとされています。
また、この社員によって構成される「社員総会」を最高意思決定機関として必ず置かなければならず、社員はこの「社員総会」の議決権を有することになります。
さらに、法人がその活動を行うために、必ず置かなければならない機関として「理事」及び「監事」を定め、いつでもそれぞれの役割を果たすこととされています。
理事とは、社員から法人の業務遂行を委任された者であり、内部的には事務を執行する権限を有し、対外的には法人を代表する権限を有しています。理事が置かれる理由としては、社員が多数であるため共同の事業運営を行うには、少数の人間で行うことが効率的であるということに基づくものとされています。
監事もまた、法人内部にあって理事の職務執行を監督することを委任された者であり、具体的には、法人の財産の状況及び理事の業務執行の状況を監査するなどの権限を持ちます。
このように、この法人はNPO法その他の法に基づき設立され、社員を構成メンバーとする組織で、最高意思決定機関としての社員総会と業務を行うに必要な機関としての理事及び監事を有する法人組織といえます。
対象となる団体(法第2条、第12条)
この法律により法人格を取得することが可能な団体は、「特定非営利活動」を行うことを主な目的とし、次の要件を満たす団体です。
(1)営利を目的としないこと。
(2)社員(正会員など総会で議決権を有する者)の資格について、不当な条件をつけないこと。
(3)報酬を受ける役員数が、役員総数の1/3以下であること。
(4)宗教活動や政治活動を主目的としないこと。
(5)特定の候補者、政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと。
(6)暴力団、暴力団又は暴力団の構成員、若しくは暴力団の構成員でなくなった日から
5年を経過しない者の統制下にある団体でないこと。
(7)10人以上の社員がいること。
「特定非営利活動」とは、次にあてはまる活動のことです。
(1)法第2条の別表に掲げる活動に該当する活動
別表
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の増進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
(2)不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動
法人設立手続き(法第7条、第9条、第10〜14条)
特定非営利活動法人になるためには、所定の申請書に、法第10条に定める必要書類を添えて東京都(事務所を、 東京都のほか他の道府県にも置く場合は内閣府)に提出します。法人設立が認められたら(認証)、登記所に設立の登記をすることが必要です。
*必要書類:定款、役員名簿、社員10人以上の名簿、設立趣旨書、事業計画書、収支予算書など
社員総会の開催(法第14条の2〜14条の7)
総会は、定款の変更など重要事項を定める最高の意思決定機関です。法人の理事は、少なくとも年1回、通常総会を開催しなければなりません。臨時総会も開催することができます。
役員の選任(法第15〜24条)
法人の役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません。理事と監事は兼職できません。また、法人に雇用されている人(職員)は監事にはなれません。
法第20条の規定に該当する人は、法人の役員になれません。また、役員の親族等の就任には、一定の制限があります。
その他の事業(法第5条)
法人は活動の資金や運営の経費にあてるために、特定非営利活動の事業に支障のない範囲で、その他の事業(収益事業等)を行うことができます。
ただし、その他の事業の会計は、本来の活動に関する会計から区分しなければなりません。
会計の原則(法第27条)
法人の会計は、この法律の規定及び次の原則に従って行わなければなりません。
- 会計簿は、正規の簿記の原則に基づいて記帳する。
- 財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、会計簿に基づき収支及び財政状態がわかるよう作成する。
- 会計処理の基準や手続きは、毎年(毎事業年度)継続して適用し、みだりに変更しない。
情報公開(法第25〜26条、第28〜29条)
法人の情報公開として、毎年(毎事業年度)、事業報告書、貸借対照表などの書類を作成し、定款などとともに、関係者が閲覧できるよう法人の事務所に備え置くことになります。また、東京都にもこれらの書類を提出しなければなりません。
なお、東京都でも、法人から提出されたこれらの書類を閲覧できます。
おもな税制(法第46条、附則第4項)
特定非営利活動法人に対する税制の扱いは、「人格のない社団等」並みの扱いとなっています。「人格のない社団等」とは、税制上、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを言い、「公益法人等」と「普通法人」(株式会社等)との中間的な取り扱いがされています。
税制上の収益事業とは、法人税法施行令第5条の33業種のことであり、法第5条に規定するその他の事業とは異なります。
例えば、法人税に関しては、収益事業以外は原則非課税です。収益事業については、普通法人(株式会社等)並みに課税されます。
また、法人住民税の均等割は、収益事業を行っていない法人の場合、申請して認められれば、課税免除の適用を受けられることがあります。
なお、国税庁長官の認定を受けた特定非営利活動法人に対して寄附を行った個人又は法人については、所得税、法人税及び相続税の特例措置があります。
東京都への申請・届出(法第23条、第25条、第31条、第32条、第34条)
法人設立手続きのほか、次のような場合には、東京都に申請又は届出が必要です。
- 役員の住所、氏名に変更があった場合、役員が新任、再任、任期満了、辞任等があった場合
- 法人の名称、事務所の所在地など、定款の記載事項を変更する場合
- 法人を解散する場合、残余財産の帰属先を決める場合、清算人が就職した場合
- 他の特定非営利活動法人と合併する場合
- 解散、合併の登記をした場合
所轄庁による監督(法第41〜43条)
法人が法律や定款などに違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは、東京都は、その法人に報告や必要な改善措置を求めたり、設立の認証を取り消すことがあります。