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パパズ・スタイル〜男性の「家事」「育児」をみんなで応援〜

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パパが家事育児でぶつかる 「壁」の乗り越え方

仕事を早く切り上げて家庭で家事育児をやりたいのに、会社の働き方改革はまだ緒に就いたばかりというところも多い。でも、働き方は自分で変えられます。勇気を持って意識と働き方を変えていきましょう。「自分でできる働き方改革」を実践する会社員パパたちに、自分流の取り組み方を聞きました。

職場の壁をどう乗り越える?

信頼関係構築で社内の理解を得る

FILE 1:
山野 明さん(仮名)
弁護士事務所勤務・40歳/妻と6歳の長女との3人暮らし
山野 明さん(仮名)写真はイメージ

家事育児に取り組むうえで、一番大きいのは職場の壁でしょう。いかに上司や同僚の理解を得るかが重要です。私は、週1回17時30分に職場を出て、幼稚園のお迎えに行っています。上司と改まって帰宅時間の交渉はしていません。毎週声高に周囲に宣言して、イクメンのイメージを作り、少しずつ既成事実化していきました。

仕事を切り上げて帰ろうとする直前に、急な仕事が入ることもあります。それを上司や後輩に託して退社するので、後ろめたさも感じますが、そこは割り切るしかありません。どうしても周囲に助けてもらわないといけない場面が増えるので、自分しか対応できない問題をつくらないこと、急なトラブルに上司や後輩が対応できるように情報共有も必要です。

社内の理解を得るには、日頃から社内の信頼関係をきちんとつくるしかありません。そうすると「今日はお迎えの日だから」と自然にイメージしてもらえるし、そのうち自分自身も後ろめたさを感じない強い精神力がつきます。

育児をするようになって、仕事への考え方も変わりました。必要に迫られることで、業務や働き方の改善点も見えてきます。上司にはことあるごとに「育児を通して学んだことが仕事に役立っている」と言い、後輩には「後輩の将来のための前例をつくっているんだ」と言うようにしています(笑)。

【ポイント】

社内に応援してもらえるイクメンになるには、社内の信頼関係を築くことが大事。自分がいなくても仕事が回るような情報共有、周囲に「早く帰る宣言」を大きな声ですることも必要。

私の平日スケジュールは家事・育児の時間
   
7:30 起床 起床 起床 起床 起床 7:30
8:50 保育園送り 保育園送り 保育園送り 保育園送り 保育園送り 8:50
9:40 出社 出社 出社 出社 出社 9:40
  仕事 仕事 仕事 仕事 仕事  
17:30 退社 17:30
18:00 保育園お迎え 18:00
  食事作り  
19:00 食事 19:00
21:00 退社 退社 子どもとお風呂 退社 退社 21:00
22:00 帰宅 帰宅 読み聞かせ・寝かしつけ 帰宅 帰宅 22:00
  就寝前の子供とおしゃべり 就寝前の子供とおしゃべり 一緒に寝落ち 就寝前の子供とおしゃべり 就寝前の子供とおしゃべり  
25:00 就寝 就寝   就寝 就寝 25:00

仕事の壁をどう乗り越える?

やらなくていいことはきっぱりやめて、生産性をアップ

FILE 2:
近藤 隆さん(仮名)
家電メーカー勤務・41歳/妻と5歳の長女、2歳の長男との4人暮らし
近藤 隆さん(仮名)写真はイメージ

会社の勤務体系は裁量労働制なので、毎朝の保育園の送りに加え、週3日お迎えもします。お迎えの日は、18時に退社しています。マーケティングの仕事で、業務量が減るわけではないので、この生活を続けるには、生産性を上げるしかありません。そこで「ECRS」で業務改善に日々取り組んでいます。

<ECRS>

  • Eliminate…業務を見直し、その業務をなくす
  • Combine…業務をまとめて、所要時間を短縮
  • Rearrange…仕事の順序を入れ替えて効率化
  • Simplify…省略して同じ成果を出す

限られた時間で仕事の量をこなすには、プロセスの時間を短縮するしかありません。そのために、まず最初に短くできるのは「思考時間」です。課題を認識したらすぐに判断したり、条件によって次に実行する内容を決める時の条件分岐をイメージしたりします。発想はメモにして、あとから思い出す時間の無駄を省くように。これらの思考は、通勤や食事のスキマ時間を活用します。

あとは、緊急度や優先度、自分がやるべきか誰かに任せるべきかを判断することで、仕事のクオリティを担保します。

もう一つ、「やらないことを決める」ことも重要です。例えば会議の資料もパワーポイントで作らず、簡素に。根回しのようなことも一切やめて、1回で決めるのがモットーです。過度な配慮や忖度をしなくても、仕事の成果やクオリティはキープできます。

【ポイント】

業務量と限られた時間という条件をクリアするために、もう一度、しっかりと業務の見直しをすること。資料作りやすり合わせに費やしていた時間をきっぱりやめ、何ごとも一度で決める姿勢が、仕事の成果にもつながるもの。やらなくてもいい作業を洗い出すことも、大切になってくる。

私の平日スケジュールは家事・育児の時間
   
7:00 起床・朝食作り・自分と子どもの支度 起床・朝食作り・自分と子どもの支度 起床・朝食作り・自分と子どもの支度 起床・朝食作り・自分と子どもの支度 起床・朝食作り・自分と子どもの支度 7:00
9:00 保育園送り 保育園送り 保育園送り 保育園送り 保育園送り 9:00
10:00 出社 出社 出社 出社 出社 10:00
  仕事 仕事 仕事 仕事 仕事  
18:00 退社 退社 退社 18:00
18:30 買い物 弁当調達   18:30
19:00 保育園お迎え 保育園お迎え 保育園お迎え 19:00
19:20 帰宅・夕食づくり 帰宅 外食 19:20
19:45 夕食 夕食 19:45
20:30 帰宅 20:30
20:45 子どもとお風呂 子どもとお風呂 子どもとお風呂 20:45
21:45 寝かしつけ 寝かしつけ 寝かしつけ 21:45
22:45 洗濯・翌日の保育園の準備 洗濯・翌日の保育園の準備 洗濯 22:45
23:00 退社     退社   23:00
23:30 夕食(外食) 自分の時間 自分の時間 夕食(外食) 自分の時間 23:30
23:45 就寝 就寝 就寝 23:45
24:00 帰宅     帰宅   24:00
25:00 就寝     就寝   25:00

時間の壁をどう乗り越える?

早め早めに対応する「瞬発力」で時間効率をアップ

FILE 3:
上端 純平さん
アクセンチュア シニア・マネジャー・34歳/妻と4歳の長女との3人暮らし
上端 純平さん写真はイメージ

クライアント企業の課題解決に取り組む、総合コンサルティングファームのシニア・マネジャーというと、従来であれば、ハードワーカーというイメージが強いかもしれません。しかし、私は子育てに積極的に参加していて、週に2〜3回、18時に退社して保育園へお迎え。お迎え担当ではない日も、なるべく19時までには帰宅し、家族で夕食を食べるようにしています。

18時に会社を出るためには、仕事のやり方を見直して、限られた時間で成果を出すことに集中します。仕事も家事・育児も同じですが、どうしても時間が細切れになって中途半端になったり、目の前のやるべきことに追われがちになったり。それを解決するためにも、【個人】【チーム】【お客様】という3つのカテゴリーで、仕事へのスタンスや時間の使い方をそれぞれ意識するようにしています。

【個人】…「瞬発力」を常に重視。例えば、メールは受信したらその場で判断してアクションし、二度見はしません。メールの返信は1本30秒で、短くても用件が伝わればよしとしています。メールを見るのは、会議の間などのすき間時間です。仕事は早め早めの判断でスケジューリング。作業スピードのアップには限界があるので、常にゴールから逆算し、優先順位を見直すことで、重要な仕事に注力できるようにコントロールします。

【チーム】…チームマネジメントでも、「時間の量ではなく成果」を意識することを全メンバーに徹底。「成果を出せば、帰りたいときに帰れる」環境を一緒につくることを目指しています。そのためにも、個人の強みを活かしながら、適切な権限委譲をするマネジメントを心がけています。

【お客様】…なるべく早い段階でゴールのイメージとそこへ行きつくための重要ポイントを見極め、お客様とすり合わせます。効率的に成果を出すことを意識し、やるべき仕事を見極め、人員の組み換え・追加をご相談するなど、お客様に積極的に提案することもあります。

時間管理で大切なのは、常にゴール(目的)を意識すること。仕事もそうですが、プライベートでもそこがポイントになります。一番大切なのは妻とのコミュニケーションです。そのため、3カ月か半年に1回、オフサイトミーテング(家族会議のための合宿)を開き、夫婦で「振り返り」や「今後こうしていきたいこと」を付箋に書き出して共有しています。

プライベートにおける時間効率アップでは、家事・育児を夫婦でやるのがおすすめです。妻と娘がお風呂に入っているときに、私が皿を洗うといった具合ですね。また、二人で取り組めば、家事・育児をするなかで、たまにけんかやトラブルがあっても、一緒に笑って楽しみに変えることができます。家では携帯を見ないオフラインタイムをつくると、家事・育児にしっかり向き合えるし、リフレッシュできますよ。

父親として、授乳以外は全部やってみて「自分ごと化」してみる。そうすると、「家事・育児に時間を奪われている」という感覚から、自分が主体的に家事・育児を楽しめるように変わってくると思います。

【ポイント】

最大限の仕事の成果を出すために、限られた時間をいかに使うかということを常に意識することで、自ずと時間管理が変わってくる。時間をとられがちなメールの送受信も、スキマ時間、二度見せずにすぐに判断というワザを取り入れるだけで、時間効率アップにつなげられる。

私の平日スケジュールは家事・育児の時間
   
7:00   起床   起床   7:00
8:00 起床 ゴミ出し・洗濯・食事の後片付け・出社 起床 ゴミ出し・食事の後片付け・出社 起床 8:00
9:00 ゴミ出し・保育園送り 仕事 保育園送り 仕事 保育園送り 9:00
10:00 出社 出社 出社 10:00
  仕事 仕事 仕事  
18:00 退社 退社 18:00
18:25 退社   退社   退社 18:25
18:30   保育園お迎え   保育園お迎え   18:30
19:00 帰宅 帰宅 帰宅 帰宅 帰宅 19:00
  食事・団らん 食事・団らん 食事・団らん 食事・団らん 食事・団らん  
  寝かしつけ・食事の後片付け・お風呂洗い 洗濯・食事の後片付け・お風呂洗い 寝かしつけ・食事の後片付け・お風呂洗い 洗濯・食事の後片付け・お風呂洗い 寝かしつけ・洗濯・食事の後片付け・お風呂洗い  
21:00 在宅勤務・妻との時間・自分の時間 寝かしつけしながら自分も就寝 在宅勤務・妻との時間・自分の時間 寝かしつけしながら自分も就寝 在宅勤務・妻との時間・自分の時間 21:00
24:00 就寝   就寝   就寝 24:00

私にも
言わせて
「自分でできる働き方改革」

パパズ・スタイルの監修者でもある大正大学准教授の田中俊之さん、東レ経営研究所上席シニアコンサルタントの塚越学さんにもお聞きしました!

田中俊之さん

子育てを重視するなら 仕事はこれまでどおりにはできない

「親としての自覚から家族との時間を作るために、皆さんがさまざまな工夫をされていることにとても勇気づけられます。10年ぐらい前までは、保育園の送り迎えをするパパさえ珍しかったことを思えば、社会は大きく変わりつつあると言えるでしょう。週末の公園もいまではパパと子供ばかりですよね。もちろん、ここで紹介された事例を、すべて実践する必要はありません。自分にできそうなことを選択して、生活に取り入れてみてください。そうは言っても、仕事を効率化して生産性を上げましたという話を耳にすると、気後れしてしまうパパがいるかもしれません。普通の男である僕の場合も、仕事の成果はかけた時間に比例します。だから、子育てを重視するなら、仕事はこれまでどおりにはできないし、仕事をこれまでどおりしたいなら、子育ては重視できないとシンプルに考えるようにしています。毎日、18時半には家にいますし、月曜日は家庭保育をしているので、当然、仕事の成果は落ちました。でも、それでいいと思っています。普通の男、いわばフツメンができることは、子育てと仕事のどちらに力を入れるにせよ、自分なりの価値観をしっかり持つことではないでしょうか」(田中俊之さん)

塚越学さん

終了時間を意識して仕事を進める 当たり前のことができていなかった

「工夫されている皆さんで共通しているのは終了時間を意識して仕事を進めているということです。つまり時間を先に決めて、その枠内で仕事を進めるということです。当たり前のように思えますが、これまでの日本の職場では、そうなっていませんでした。労働時間の上限が法規制等で決まっていて限られた時間で成果を求められるヨーロッパ諸国と異なり、日本では、実質的に、業務量が先に決まっていて、業務が終了した時点が労働時間の終了時間であることが70年間続いてきました。人間は時間があると仕事を増やす傾向にあります。実質的に労働時間に上限がなかった日本において、重要な仕事もそうでない仕事も混在して増えていき、長時間労働の職場になっていくのは当然です。しかし、2019年4月以降は、70年ぶりの法改正により、日本も労働時間の上限規制強化でヨーロッパ式に近づきます。子育て中のパパたちのこうした働き方の工夫は、職場全員に求められることになります。先手で実践しているみなさんはより優位に立てるので、職場のお手本になるよう自信をもって続けていきましょう」(塚越学さん)

パパたちにエールを!vol.5

まず、働く人の幸せがあり
それを継続するために会社がある〈前編〉

青野慶久さん (サイボウズ 代表取締役社長)

 暇さえあれば仕事をしていたい。そうでないと不安になる、まさにワーカホリックでしたね。2010年に第一子が生まれ、育児休業を取ってみたら、「育児大変だな」とびっくり。最初は少し逃げ腰だったんですけど、2人目が生まれ、3人目が生まれて、だんだん逃げられなくなって(笑)。2人でも回らないのに3人に増えて、私の家事育児の時間もどんどん増えていきました。

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 家事育児をした方がいいアイデアも湧きます。長時間会社にいるというのは、インプットが少ない。私は家事育児を始めてから、保育園の待機児童問題も語れるし、自治体や学校、病院にも詳しくなった。スーパーにも行くので小売業の今も分かります。するとさまざまな意思決定のレベルが上がり、社会のニーズがどこにあるのかが分かってきます。

 これからの社会、子育てしながら、介護しながら、そんな人と一緒に働くようになるんだろうな、そうするとグループウエア(※)はこうでないといけない。副業も当たり前、家で働く、スマホで働く、いかに短時間で効率よく働くかが重要になると。

※サイボウズは、コンピュータネットワークを活用し、組織内の情報共有するグループウエアで高いシェアを誇る。

 でも最初は、何でこんなことをやっているだろうと、葛藤がありました。ところが何事にも学びがあります。洗濯物を干すのも面倒だけれど、干しながら天気や外の様子を観察できたり、ボーッとしたり、考えごとをしたりできる。そういう時間ってそれまでなくて。子供と過ごす何気ない時間。幸せってこういうとこにあるんだな、と分かってくる。

 私の幸せは、目標に向かってはガツガツやって、昨日よりも今日、今日よりも明日と前進していくこと。これが幸福だと思っていた。今家族がいて、幸せに笑っている。このことがすごいぞ、幸せなんだと思う。それは正直、最近まで分からなかった。いかにワーカホリックだったか。

 人間は幸福になりたい。お金が欲しいのもお金がいっぱいあると幸福な気がするからですよね。人間が会社を作ったのも人間がもっと幸福になる仕組みだった。ところが、人間の幸福よりも会社の利益が優先される。それはおかしい。まず、働く人の幸せがあって、それを継続するために会社という仕組みがあるという発想でないといけない。どこかで目的と手段が入れ替わってしまっています。(※第6回に続く)

あおの・よしひさ

1997年、会社の上司だった高須賀宣氏、大学の先輩だった畑慎也氏と3人でサイボウズを立ち上げる。社内のワークスタイル変革を推進し離職率を6分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休業を取得。また2011年から事業のクラウド化を進め、売り上げの半分を超えるまでに成長。総務省、厚労省、経産省、内閣府、内閣官房の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。著書に『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』(PHP研究所)などがある。

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パパと息子のブルース
連載! エイイチ漫画『パパと息子のブルース』 ただ今、5歳の息子を子育て中です!

僕でもできる働き方改革

  • 第5回-1

    第5回-1のテキスト

  • 第5回-2

    第5回-2のテキスト

  • 第5回-3

    第5回-3のテキスト

  • 第5回-4

    第5回-4のテキスト

エイイチ著者紹介
プロフィール

エイイチ

東京のデザイン会社に勤めた後、フリーランスのイラストレーターに。日経DUALで漫画『健気なボクと毛無毛なパパ』を連載中。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭インターナショナル・ショートフィルム・ショウケース部門優秀アニメ賞を受賞するなど、アニメ、漫画、イラストの制作で頑張るパパ。

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